帯状疱疹・帯状疱疹ワクチン
── 発症予防と重症化予防のために ──
帯状疱疹とはどんな病気か
帯状疱疹は、子どものころに水ぼうそうにかかった際にからだに入ったウイルス(水痘・帯状疱疹ウイルス/VZV)が、その後もずっと神経の中に潜伏し続け、免疫力が低下したタイミングで再び活性化することで起こる病気です。
体の左右どちらか片側に、ピリピリ・ズキズキとした痛みと赤い発疹・水ぶくれが帯状に現れるのが特徴です。顔・胸・背中・腰など、神経の走行に沿った部位に出やすく、「最初は痛みだけで発疹がない」という状態から始まることも少なくありません。中高年から高齢者に多く、70代前後で発症のピークとされています。
免疫力は加齢とともに自然に低下しますが、過労・ストレス・睡眠不足なども引き金になります。糖尿病・慢性腎臓病・がん治療中など、免疫に影響する持病がある方では発症リスクが高まることが知られています。
帯状疱疹後神経痛という合併症
帯状疱疹で怖いのは、発疹が治った後も長く続く「帯状疱疹後神経痛(PHN:Post-herpetic Neuralgia)」です。発症後に神経がダメージを受けることで、皮膚の症状が落ち着いた後も焼けるような・電気が走るような痛みが何か月も、場合によっては何年も続くことがあります。
高齢になるほど、また発症時に症状が重かった方ほど、神経痛に移行しやすいとされています。「発疹が消えたのに痛みだけが残る」という状態は生活の質に大きく影響するため、帯状疱疹の予防と、発症した場合の早期治療の両方が重要になります。
帯状疱疹ワクチンについて
帯状疱疹の予防に使われるワクチンには、大きく分けて生ワクチン(従来型)と不活化ワクチン(組換えタイプ)の2種類があります。
生ワクチンは1回の接種で済み、費用が比較的抑えられますが、免疫を抑制する治療中の方など、免疫状態によっては使用できない場合があります。不活化ワクチンは2回接種(2か月間隔が目安)が必要ですが、発症予防効果・持続期間ともに高いとされており、多くの試験でその有効性が報告されています。どちらが適しているかは、年齢・持病・免疫状態・費用負担などを総合的に考慮して判断します。
日本では近年、高齢者に対する帯状疱疹ワクチンの定期接種制度が設けられました。対象年齢や費用負担の仕組みは自治体によって異なる場合があり、また制度は変更されることもあるため、最新の情報はお住まいの市区町村の窓口や自治体のホームページでご確認ください。当院でも、受診時にご相談いただければ最新の状況をご案内します。
ワクチン接種を検討したい方
50歳以上で感染症予防に関心がある方、過去に帯状疱疹を経験して再発予防を考えたい方(帯状疱疹は一度かかった後も再発することがあります)、糖尿病・慢性腎臓病・免疫力低下につながる持病をお持ちの方——こうした方はワクチン接種を検討する価値があります。
「まだ若いから大丈夫」と思われる方もいますが、50代からの接種が有効性の観点から勧められています。「どちらのワクチンがいいか」「持病があっても受けられるか」「他のワクチンと同時に受けていいか」などの疑問も、診察の際にお気軽にご相談ください。
帯状疱疹かなと思ったときは早めに受診を
ワクチンを接種していても、帯状疱疹を完全に防げるわけではありません。発症した場合には、できるだけ早い段階(発疹出現から72時間以内が目安)に抗ウイルス薬を開始することで、症状の期間を短縮し、帯状疱疹後神経痛のリスクを下げる効果が期待できます。
次のような症状が出た場合は、「様子を見よう」と放置せず、早めにご受診ください。
- 体の片側だけにピリピリ・ズキズキした痛みがある
- その部分に赤い斑点や水ぶくれが出てきた
- 顔や目の周りに発疹が出た(視力に影響することがあります)
- 耳の周りの発疹に加え、耳鳴りやめまい・顔の動きにくさが出た
特に顔・目・耳の周囲に症状が出た場合は、視力や聴力・顔の神経への影響が懸念されるため、早急な対応が重要です。
当院での対応について
当院では、帯状疱疹の疑いがある方の診察・抗ウイルス薬の処方、および帯状疱疹ワクチン接種(生ワクチン・不活化ワクチン)のご相談・接種に対応しています。
「発疹が出て痛い」「これは帯状疱疹だろうか」という急な症状から、「ワクチンを受けたいが自分に合うタイプはどちらか」「持病があるが接種して大丈夫か」といった事前のご相談まで、内科・総合診療の立場からお答えします。糖尿病・高血圧・慢性腎臓病などで定期通院されている方は、受診のタイミングでワクチン接種についてもあわせてご相談いただくと、持病との兼ね合いも含めてスムーズに判断できます。
帯状疱疹後神経痛が残ってしまった場合には、痛みのコントロールについても一緒に対応します。長引く痛みでお困りの方も、遠慮なくご相談ください。
「まだかかっていないうちに」が最も大切なタイミングです
帯状疱疹は、「なってみて初めてこんなに辛い病気だったと知った」という方が多い病気です。特に帯状疱疹後神経痛は、日常生活や睡眠の質に長く影響することがあり、「あのときワクチンを受けておけばよかった」と後悔される方もいらっしゃいます。
「50歳を過ぎた」「免疫力が低下しやすい持病がある」「家族が帯状疱疹になって心配になった」——こうした方は、症状がない今こそ相談のタイミングです。どうぞお気軽にご来院ください。
友成第二医院(文京区護国寺)/内科・整形外科・リハビリテーション科