便秘
── 「出にくい」「スッキリしない」ときに考えたいこと ──
「毎日出ていない=便秘」ではありません
「毎日出ていないから便秘だ」と思われがちですが、便秘の定義は排便の回数だけではありません。便が硬くて出しにくい、強くいきまないと出ない、出てもスッキリしない——こうした状態も便秘の一種と考えられます。逆に、毎日排便があっても残便感が強い場合は「便秘」に該当することがあります。
特に高齢の方や女性では便秘は非常に多い悩みであり、痔や腹痛だけでなく、食欲低下・睡眠の妨げ・気分の落ち込みにもつながることがあります。「たかが便秘」と思わず、つらさが続く場合はきちんと対処することが大切です。
便秘のタイプ
便秘にはいくつかのタイプがあり、原因によって対処の仕方が変わります。
弛緩性便秘は、大腸の動きが弱くなり便がなかなか肛門まで運ばれないタイプで、高齢者・運動不足の方・食事量が少ない方に多くみられます。けいれん性便秘は、ストレスや自律神経の乱れで腸の動きが不規則になり、コロコロした硬い便や腹痛を伴うことが特徴です。過敏性腸症候群の便秘型と重なることもあります。直腸性便秘は、便意を我慢し続けるうちに直腸の感覚が鈍くなり、便がたまっても便意を感じにくくなるタイプです。
一時的な生活リズムの乱れで起こる「一過性の便秘」と、長く続く「慢性便秘」では対応が異なります。慢性便秘は放置するほど腸の動きが悪くなりやすく、早めに対処を始めることが改善への近道です。
自宅でできる基本対策
便秘の改善には、生活習慣の見直しが基本です。食物繊維を意識して摂ること(野菜・果物・海藻・きのこ・豆類など)、水分をこまめにとること(特に朝起きてすぐの一杯の水は腸を刺激して排便を促す効果が期待できます)、適度な運動(散歩・体操など)で腸の動きを促すこと、朝食後など「胃腸の反射が起きやすい時間」にトイレに座る習慣をつくることが有効です。
ただし、食物繊維だけを急に増やすとおなかの張りやガスが増えることもあるため、少しずつ取り入れていくことをおすすめします。水溶性食物繊維(海藻・果物・オートミールなど)と不溶性食物繊維(野菜・穀類など)をバランスよく摂ることが、便の状態を整える上で大切です。
薬との上手な付き合い方
市販の便秘薬で一時的にしのいでいる方も多いのですが、何年も同じ薬に頼り続けている、薬を飲まないとまったく出なくなってしまっている——こうした状態になっている場合は、一度見直しが必要です。市販の刺激性下剤(センナ・アロエ系)を長期間使い続けると、腸が薬に依存した状態になりやすく、自力での排便がさらに難しくなることがあります。
医療機関では、腸の動きを助ける薬・便を柔らかくする薬・腸内環境を整える薬・漢方薬など、便秘のタイプや全身状態に合わせて薬を選ぶことができます。「薬=悪いもの」と決めつけず、「腸のリズムを整える補助」として上手に使っていくことが大切です。
こんな場合は早めに受診を
次のような場合は、「いつもの便秘」と自己判断せず、早めにご受診ください。
- 急に便が出なくなり、強い腹痛・吐き気・嘔吐を伴う
- 便に血が混じる・黒っぽい便が続く
- 体重減少や貧血を伴う
- 以前と明らかに便の太さや形が変わった
こうした場合は腸閉塞・大腸ポリープ・大腸がんなど、別の病気が隠れている可能性があります。大腸内視鏡検査などの精密検査が必要と判断した場合は、近隣の消化器内科・内視鏡専門医療機関へご紹介しますので、まずはご相談ください。「長年の便秘だから」と決めつけず、症状の変化があれば一度きちんと評価しておくことが大切です。
当院での対応について
当院では、「便秘が長年続いている」「市販薬をやめられない」「最近便の様子が変わった気がする」といったご相談を内科・総合診療の立場からお受けしています。問診で便秘のタイプ・経過・生活習慣・現在使用している薬などを確認した上で、血液検査・腹部超音波などを組み合わせて評価し、その方に合った薬の選択と生活指導を行います。
高齢の方・糖尿病をお持ちの方・甲状腺の病気がある方など、全身の状態が便秘に関係していることもあります。かかりつけ医として、便秘だけを切り取るのではなく、からだ全体の状態を踏まえながら一緒に考えていきます。
「ずっとこういうものだと思っていた」方へ
「何年も便秘だから仕方ない」「病院に行くほどではない」と思いながら、市販薬を飲み続けている方は多くいらっしゃいます。しかし、便秘は適切な対処で改善できることが多く、生活の質を大きく変えられる症状のひとつです。
「なんとかしたいけれどどうすればいいかわからない」「薬をやめたいが自力では出ない」——そんな方も、どうぞお気軽にご相談ください。
友成第二医院(文京区護国寺)/内科・整形外科・リハビリテーション科
参考
・便通異常症診療ガイドライン2023―慢性便秘症 – c00812.pdf
・食物繊維の必要性と健康 | 生活習慣病などの情報(e-ヘルスネット) | 健康日本21アクション支援システム Webサイト