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内科総合内科

麻疹(はしか)がまた話題に

── 今、日本で何が起きているか ──

「はしかが増えている」と聞いて、気になっていませんか?

2025年、日本国内の麻疹患者数は年間245例と、コロナ禍以降で最多となり、前年比で約5.7倍まで増加しました。2026年に入ってからも年初から全国で30例超が報告されており、東京都だけでも2月時点で6例前後と、ここ数年より明らかに多いペースで推移しています。

「はしかって子どもの病気では?」「昔みんながかかっていた軽い病気では?」——そう思っている方もいるかもしれません。しかし麻疹は今もなお、重い合併症と死亡リスクを持った感染症です。この記事では、麻疹とはどんな病気か・なぜ今増えているか・どう予防するかについてお伝えします。


今なぜ増えているのか

現在の流行の特徴として、患者の多くが20〜30代を中心とする若年〜壮年層であり、「ワクチン2回接種が完了していない方」が約8割を占めると報告されています。海外(特にベトナムなど)からの輸入例をきっかけに、学校・職場・家庭内での二次感染が起きている状況です。

2026年2月半ばの時点で全国32例・12都道府県から報告があり、東京都6例のほか千葉・埼玉でも報告があります。関東圏を中心に増加傾向にあり、当院がある文京区・護国寺エリアにお住まいの方も、決して対岸の話ではありません。


麻疹とはどんな病気か

麻疹ウイルスによる急性の全身感染症で、非常に強い感染力を持っています。潜伏期間は10〜12日ほどでほぼ症状がなく、その後カタル期(高熱・強い咳・鼻水・目の充血・強い倦怠感が数日続く)を経て、顔から始まった赤い発疹が全身へ広がる発疹期へと進みます。

麻疹の重要なポイントは「発疹が出る病気」というだけでなく、全身の免疫を一時的にリセットしてしまうような重い感染症だということです。麻疹にかかった後はしばらく他の感染症にも罹りやすくなるとされており、回復後も注意が必要です。

口の中の頬の内側に現れる小さな白い斑点(コプリック斑)は麻疹に特徴的なサインですが、出ない場合もあります。初期症状は高熱・咳・鼻水・目の充血と普通の風邪やインフルエンザに似ており、発疹が出るまで麻疹と気づきにくいのも特徴のひとつです。


なぜ麻疹は怖いのか

麻疹患者のおよそ30%近くに何らかの合併症が起こるとされています。最も多いのは肺炎で、合併症の約半数を占め入院が必要になることも多くあります。中耳炎・気管支炎・腸炎なども起こりやすい合併症です。

特に重い合併症として知られているのが急性脳炎です。まれですが発症すると約15%が死亡し、20〜40%に重い後遺症(けいれん・知能障害など)が残ると報告されています。さらに、麻疹罹患後数年〜10年ほど経てから発症する「亜急性硬化性全脳炎(SSPE)」という非常に重い遅発性脳炎も知られており、10万人に1人程度の頻度とされています。

「昔はみんなかかっていた軽い病気」というイメージとは異なり、今もなお重い合併症と死亡リスクを持った感染症であることに変わりはありません。


感染力の強さ

麻疹ウイルスは空気感染・飛沫感染・接触感染のいずれでも広がり得る、極めて感染力の強いウイルスです。インフルエンザと比べて感染力は10倍以上とも言われており、患者と同じ部屋にいただけで感染することがあります。ウイルスは空気中にしばらく漂い続けるため、「入れ違い」で部屋に入った人が感染することもあるとされています。

「同じ電車・バス・待合室にいた」「同じ商業施設に滞在していた」というレベルでも、ワクチン未接種・免疫不十分な方では感染リスクが無視できません。このブログの「大人のワクチン総論」の記事でもお伝えしたように、自分のためだけでなく周囲を守るためにも予防の意識が重要です。


診断と治療について

麻疹を疑う状況(高熱+咳・鼻水・発疹+流行地との関連など)では、血液検査(麻疹特異IgM抗体など)や咽頭ぬぐい液・尿・血液からのPCR検査で診断を確定します。麻疹は感染症法上の全数把握対象疾患であり、診断した医師は保健所へ届出を行い、接触者への健康観察と二次感染予防が行われます。

治療については、麻疹自体を直接やっつける特効薬はなく、解熱剤・水分・栄養補給などの支持療法と、肺炎や中耳炎などの合併症への対処が中心です。重い合併症を早期に見逃さないこと・脱水や呼吸状態の悪化を防ぐことが重要であり、そのためには早期の診断と適切な医療機関での経過観察が鍵になります。


最も大切なのは予防——MRワクチンについて

麻疹に対して最も有効なのがMRワクチン(麻疹風疹混合ワクチン)による予防です。1回接種だけでは2〜5%程度の人で十分な免疫がつかないとされており、2回接種を行うことで免疫獲得率は97〜99%以上に上昇します。日本では1歳と小学校入学前(5〜6歳)の計2回接種が定期接種として推奨されています。

2回接種歴があっても、まれに軽い麻疹(修飾麻疹)を発症することがありますが、症状が軽く周囲への感染力も弱いとされており、「重症化と拡大を防ぐ」という意味で2回接種の意義は非常に大きいです。

麻疹患者と同じ空間にいたなど明らかな接触歴がある場合、接触から72時間以内にMRワクチンを接種することで発症を防げる可能性があると報告されています(曝露後接種)。ただし接種歴・年齢・妊娠の可能性・持病・接触状況によって対応が異なるため、不安がある場合はまず電話でご相談ください。


当院からお伝えしたいこと

お子さんの頃の母子手帳を確認して、「MRワクチン2回接種済みかどうか」を一度チェックしてみてください。2回接種が完了していない場合は、任意接種を含めてご相談の余地があります。

海外渡航歴があり帰国後に発熱・発疹・咳などが出た場合は、必ず「渡航歴があること」を伝えた上で受診してください。また「麻疹流行地に行った」「患者と同じ空間にいた」など具体的な接触が心配な場合は、自己判断で医療機関をはしごするのではなく、まず電話でご相談いただくと安全な導線をご案内しやすくなります。

麻疹は一度広がると制御が難しい一方で、「ワクチンでほぼ防げる」数少ない感染症でもあります。個人としてはワクチン接種歴の確認と発熱・発疹が出たときの早めの受診相談を、地域全体としては「麻疹を持ち込まない・広げない」意識を、一緒に持っていければと思っています。


友成第二医院(文京区護国寺)/内科・整形外科・リハビリテーション科


参考

・国立感染症研究所「麻疹」 麻しん|国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト

・厚生労働省「麻疹(はしか)について」麻しん(はしか)|厚生労働省

・東京都感染症情報センター「麻疹の発生状況」 麻しんの流行状況(東京都 2026年) | 東京都感染症情報センター

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