春先の「血圧の乱れ」にご用心
── 三寒四温を乗り切るコツ ──
「冬を乗り切れば安心」ではありません
3月中旬、護国寺境内では梅が見頃を終え、今度は桜が徐々に咲き始めています。暖かい日が増えてきたと思えば翌日には冷え込む——そんな三寒四温の時期を迎えています。
「冬さえ乗り切れば血圧は安定する」と思われがちですが、実は春先こそ、寒暖差による血圧の変動が起きやすい季節です。朝起きたときになんとなく頭が重い、立ち上がったときにこれまでになかったふらつきを感じる、動悸や肩こりがいつもより気になる——こうしたサインが出ていませんか?この記事では、なぜ春先に血圧が乱れやすいのか・どう対処すればよいかについてお伝えします。
なぜ春先に血圧が乱れやすいのか
血圧は気温の変化に非常に敏感です。寒いときは血管が収縮して血圧が上がり、暖かくなると血管が広がって血圧が下がります。真冬は「寒さで血圧が上がりやすい」という認識が広まっていますが、三寒四温の春先は1日の中での寒暖差・日による気温の振れ幅が大きく、血圧が安定しにくい状態が続きます。
また、春は年度替わりや環境の変化によるストレスが重なりやすい時期でもあります。ストレスは交感神経を刺激して血圧を上昇させる要因になります。このブログの「自律神経失調症とは」の記事でもお伝えしたように、自律神経の乱れは血圧の変動とも深く関わっており、春先は特にその影響が出やすい季節です。
さらに、花粉症による睡眠の質の低下・鼻づまりによる夜間の酸素不足なども、血圧の変動に影響することがあります。
春先の血圧変動が怖い理由
血圧の変動が大きい状態が続くと、血管への負担が蓄積されます。特に注意したいのが「早朝高血圧」です。起床後1〜2時間は血圧が上がりやすいタイミングであり、この時間帯に血圧が急上昇することで、脳卒中・心筋梗塞のリスクが高まることが知られています。
「病院で測ると正常なのに、家で測ると高い」「朝だけ血圧が高い」という方は、このパターンに当てはまっている可能性があります。このブログの「高血圧」の記事でお伝えしたように、家庭血圧の測定は診断・管理において非常に重要な情報です。診察室で測る血圧だけでなく、日常の血圧の変動を把握することが春の血圧管理の第一歩です。
家での正しい血圧測定のタイミング
春の血圧管理において、家庭での血圧測定は欠かせません。正しいタイミングと方法で測ることで、変動のパターンが見えてきます。
朝の測定は起床後1時間以内・トイレを済ませた後・朝食や薬を飲む前・座って1〜2分安静にしてから行うことが基本です。夜の測定は就寝前・入浴後1時間程度空けてから行うと安定した値が得やすくなります。毎日同じ条件で測り続けることで、「いつもより高い日」「変動が大きい日」のパターンが把握できるようになります。
測定値はそのまま血圧手帳・メモ帳やスマートフォンのアプリに記録しておいて、受診時に持参いただけると、より適切な評価ができます。「1回の測定値が少し高かった」よりも、「1週間の平均がどのくらいか」「朝と夜でどのくらい差があるか」という情報の方が、治療方針を考える上で重要です。
春の血圧管理のポイント
寒暖差への対応として、朝の起き上がりをゆっくりにすること、外出時の重ね着で急激な体温変化を防ぐこと、特に首・手首・足首の「三首」を冷やさないことが有効です。まだ朝晩の冷え込みが続く時期は、「今日は暖かいから大丈夫」と薄着になりすぎないよう注意が必要です。
食事面では、塩分のとりすぎに引き続き注意が必要です。春は歓送迎会・花見など外食の機会が増え、塩分・アルコールが増えがちな時期でもあります。アルコールは一時的に血圧を下げる作用がありますが、その後のリバウンドで血圧が上昇しやすくなるため、飲みすぎには注意が必要です。
睡眠については、春先は花粉症による鼻づまり・目のかゆみで眠りが浅くなりやすい時期です。睡眠の質が低下すると交感神経が優位になりやすく、翌朝の血圧上昇につながることがあります。このブログの「不眠・ストレス」の記事でお伝えした睡眠の工夫も、春の血圧管理と深く関わっています。
こんな場合は早めに受診を
普段から血圧の管理をしている方でも、次のような変化があれば早めにご相談ください。
- 家庭血圧が135/85mmHgを継続的に超えるようになった
- 朝の血圧が以前より明らかに高くなった
- 頭痛・めまい・動悸・胸の違和感が続く
- 血圧の薬を飲んでいるが、最近効きが悪い気がする
特に「いつもと違う頭痛」「突然の激しいめまい」「顔や手足のしびれ」が出た場合は、すぐに受診してください。
当院での対応について
当院では、「最近血圧が安定しない気がする」「家庭血圧の記録を見てほしい」「春になって体調が変わった気がする」といったご相談を内科の立場からお受けしています。家庭血圧の記録をお持ちいただいた上で、生活習慣のアドバイスや必要に応じた薬の調整を行います。
新年度が始まるこの時期、環境の変化によるストレスや生活リズムの乱れも血圧に影響しやすくなります。「春だから仕方ない」と放置せず、気になることがあればお気軽にご相談ください。
護国寺・目白台・雑司ヶ谷・大塚・東池袋エリアの皆様の、健やかな新年度のスタートをお手伝いできればと思っています。
友成第二医院(文京区護国寺)/内科・整形外科・リハビリテーション科
参考
- 日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2019」 https://www.jpnsh.jp/guideline.html
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「高血圧」 高血圧 | 生活習慣病などの情報(e-ヘルスネット) | 健康日本21アクション支援システム Webサイト
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「栄養・食生活と高血圧」栄養・食生活と高血圧 | 生活習慣病などの情報(e-ヘルスネット) | 健康日本21アクション支援システム Webサイト
- 自律神経失調症とは 自律神経失調症の症状と対処|検査異常なしでもしんどい方へ【文京区護国寺】
- 高血圧と言われたら、最初に知っておきたいこと 高血圧の治療と家庭血圧の管理|文京区護国寺・友成第二医院
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