健診で血圧とコレステロールを同時に指摘された方も多いのではないでしょうか。
高血圧は自覚症状がほとんどないまま進行する病気ですが、正しく理解し、生活習慣を整えることでコントロールできる可能性があります。
こちらの記事では、血圧の基礎知識から高血圧の原因・症状・合併症、脂質異常症との関係、予防と治療まで解説します。
この記事でわかること
- 血圧の基本の仕組みや「高血圧」と「高血圧症」の違い
- ご自身が高血圧になりやすいタイプかどうかのポイント
- 血圧を放置した場合に起こりうる病気(脳卒中・心臓病など)
- 血圧を下げるためにできる食事・生活習慣の工夫
血圧とは?
血圧とは、心臓から送り出された血液が血管の壁を押す圧力のことです。
心臓が収縮して血液を送り出すときの圧力を「収縮期血圧(最高血圧)」、心臓が拡張して血液をため込むときの圧力を「拡張期血圧(最低血圧)」と呼びます。
血圧の高さは、心臓から送り出される血液の量(心拍出量)や末梢血管抵抗、循環血液量、動脈の硬さなどによって決まります。塩分の摂取量や腎臓・神経系・内分泌系の働きも影響します。
血圧は一日の中でも変動しており、目覚めとともに上昇して日中は高め、夜間の睡眠中は低くなるのが一般的なリズムです。
また、運動や気温の急な変化、緊張などで一時的に上がることも珍しくなく、冬場は夏場より高くなる傾向があります。
最高血圧と最低血圧
最高血圧と最低血圧は、健診結果などでよく「上」「下」と表記される2つの値です。
「上の血圧」を指す、最高血圧(収縮期血圧)は、心臓がぎゅっと収縮して血液を送り出す瞬間にかかる圧力です。
一方、「下の血圧」を指す最低血圧(拡張期血圧)は、心臓が拡張して次の血液をためている間にかかる圧力で、動脈の弾力性や末梢血管抵抗、心拍数などの影響を受けます。
家庭血圧と診察室血圧
「家庭血圧」は自宅などで測定する血圧を指し、「診察室血圧」は診療所や病院で測定する血圧のことです。
一般的に、病院ではストレスや緊張する人もいれば、リラックスできる人もおり、家庭血圧と診察室血圧の数値に変化が出やすいとされます。
病院で血圧が一時的に上がりやすく、診察室血圧は高血圧の基準を満たす一方、家庭血圧や24時間血圧が正常な状態を「白衣高血圧」と呼びます。
反対に、診察室では正常でも自宅では血圧が高いケースは「仮面高血圧」と呼ばれ、見逃されやすいため注意が必要です。
そのため、近年では自宅でリラックスした状態で測る家庭血圧がより重視されつつあります。
朝晩できるだけ同じ時間・条件で測定し、記録を続けることで、ご自身の血圧の傾向をより正確に把握できます。
高血圧の基準|血圧が高いと何がいけないの?
以下のいずれかの基準を満たすと、高血圧と判断されます。
| 測定場所 | 高血圧の基準 |
|---|---|
| 診察室血圧 | 収縮期140mmHg以上、または拡張期90mmHg以上 |
| 家庭血圧 | 収縮期135mmHg以上、または拡張期85mmHg以上 |
通常、「高血圧のせいで体がつらい」というケースは少ないとされ、高血圧そのものに痛みや苦しさはほとんどありません。
しかし、血圧が高い状態が続くと血管が徐々に傷み、脳や心臓、腎臓などに深刻な合併症を引き起こすリスクが高まっていきます。そのため、高血圧の場合は症状がなくても早めの対策が大切です。
高血圧症とは?高血圧と高血圧症の違い
高血圧と高血圧症は、基本的にはどちらも同じ意味で使われることが多いです。
ただし、厳密には「高血圧」は血圧が高いという状態そのものを指す言葉です。「高血圧症」は、日を改めて繰り返し測定しても血圧が正常値より高い状態が続く場合に診断されます。
たまたま測ったときに血圧が高くても、それだけでは「高血圧症」とは言い切れません。
当日の体調や緊張、測定条件によって血圧は上下しやすいため、一度の測定値だけで一喜一憂せず、複数回・複数日の測定結果をもとに落ち着いて判断することが重要になります。
高血圧になりやすい人とは?
遺伝的な体質に加え、塩分の摂りすぎ、肥満、過度の飲酒、運動不足、ストレス、喫煙といった生活習慣が重なることで発症しやすくなるとされます。
ご家族に高血圧の方が多い場合や、健診で肥満・脂質の異常を指摘されたことがある場合、外食や塩分の多い食事が続きがちな方は、特に注意が必要です。
年齢を重ねるほど血管も硬くなりやすいため、若いうちからの生活習慣も将来の血圧に影響します。
高血圧の原因(本態性|二次性)
高血圧の原因は、大きく「本態性高血圧」と「二次性高血圧」の2つに分けられます。
本態性高血圧は、これといった原因となる病気がないのに血圧が高くなるタイプで、日本人の高血圧の大部分を占めます。
遺伝的な要因に、塩分の摂りすぎや肥満、運動不足、ストレスなどの生活習慣が組み合わさって起こると考えられています。
一方、二次性高血圧は、腎臓の病気のほか、副腎や甲状腺などのホルモンに関わる病気、睡眠時無呼吸症候群といった別の病気が背景にあり、その結果として血圧が上がっているタイプです。
二次性高血圧は、原因となっている病気を治療することで血圧が改善する場合も少なくありません。
なお、妊娠中に血圧が上がる「妊娠高血圧症候群」も、通常の高血圧とは分けて経過観察・管理する必要がある点に注意しましょう。
高血圧症の症状
高血圧と診断されても、多くの場合は痛みや苦しさといった自覚症状がほとんど現れません。
血圧がかなり高くなると頭痛やめまい、肩こりなどが出ることもありますが、これらは血圧以外の原因でもよく起こる症状です。そのため、「血圧が高いサイン」として気づくのは簡単ではありません。
高血圧症が続けば、自覚症状がないまま血管の壁は少しずつ厚く硬くなり(動脈硬化)、脳や心臓、腎臓などに負担がかかり続けます。
このように、自覚症状を感じないうちに徐々に進行し、急に命に関わるリスクがある性質から、高血圧は「サイレントキラー」とも呼ばれています。
だからこそ、体調に変化を感じていなくても、定期的に血圧を測り、数値で自分の状態を把握しておくことが欠かせません。
高血圧症が原因で引き起こされる可能性がある病気
血圧が高い状態が長く続くと血管は常に張りつめ、次第に厚く硬くなっていきます(動脈硬化)。
この変化は全身のあらゆる血管で起こり、放置すると命に関わる病気につながることがあります。ここからは、高血圧症の合併症を紹介します。
脳卒中
脳卒中とは、脳の血管が破れる脳出血やくも膜下出血、血管が詰まる脳梗塞の総称です。
突然の片麻痺や言葉のもつれなどの症状が現れ、後遺症が残ることも多い病気です。高血圧は脳卒中の危険因子とされています。
虚血性心疾患
虚血性心疾患とは、心臓の筋肉に血液や酸素を送る血管(冠動脈)が動脈硬化などで狭まり、心臓が酸素不足になる病気です。
心臓に血液を送る冠動脈が動脈硬化で狭くなり「狭心症」になると、歩行時などに胸の圧迫感が繰り返し起こるといった症状が現れます。さらに、激しい胸の痛みを伴う「心筋梗塞」に至ることがあります。
心房細動
心房細動とは、心臓の心房が小刻みに震え、うまく機能しなくなる不整脈の一種です。
高血圧は心房細動の主要な危険因子であり、両者は併存しやすく、加齢とともに頻度が高くなることが知られています。
大動脈瘤
大動脈瘤は、全身に血液を送る大動脈の壁が、こぶのように部分的にふくらむ病気です。
自覚症状のないまま大きくなることが多く、破裂すると胸や腹部に激しい痛みが生じ、命に関わる緊急事態となります。
腎硬化症
腎硬化症は、高血圧が長期間続くことで腎臓内の細い血管にも動脈硬化が起こり、腎臓の機能が徐々に低下していく病気です。
進行すると腎不全に至ることもあり、透析導入の原因としても腎硬化症が上位を占めています。
高血圧症と脂質異常症の関係
脂質異常症とは、血液の中の脂質が異常値になっている状態のことです。高血圧と脂質異常症は、どちらも自覚症状に乏しく、生活習慣の乱れを背景に発症しやすい代表的な生活習慣病です。
例えば、運動不足、肥満、食べ過ぎ、喫煙といった原因の多くが共通しているため、健診で両方を同時に指摘される方は少なくありません。
高血圧症と脂質異常症が重なると、血管の壁はコレステロールの沈着と高い圧力の両方にさらされるなど、動脈硬化のリスクがより高くなります。
その結果、脳卒中や心筋梗塞といった重大な病気のリスクが、どちらか一方だけの場合よりも高まることがわかっています。
血圧とコレステロールは別々の数値に見えても、体の中では深く関わり合っているため、まとめて管理していくことが合併症の予防につながります。
血圧が高いときはどうすればいい?高血圧の予防対策になる食事
血圧対策としてまず取り組みたいのが「減塩」です。塩分を摂りすぎると体内に水分がたまり、血流量が増えて血圧が上昇します。
1日の食塩摂取量は、高血圧のある方は6g未満を目指すのがひとつの目安です。
(参照:健康日本 21(第三次)推進のための説明資料 - p.30|厚生労働省)
例えば、汁物の回数を減らす、調味料は直接かけずに小皿につけて使うなど、無理のない範囲で少しずつ工夫を重ねていくことがポイントです。
あわせて、野菜や海藻に含まれるカリウムは塩分の排出を助けるため、意識して取り入れるとよいでしょう。
食事のほか、適正体重の維持(BMI25未満が目安)、ウォーキングなどの軽い有酸素運動、節度ある飲酒、禁煙も血圧のコントロールに役立ちます。
食事や生活習慣の見直しは、高血圧だけでなく脂質異常症の予防にもつながる大切な一歩です。
また、血圧が著しく高く、胸痛、呼吸困難、激しい頭痛、手足の麻痺、言葉が出にくいなどを伴う場合は、高血圧緊急症の可能性があるため、直ちに救急受診が必要です。
高血圧の治療法は?生活習慣指導と薬物療法
高血圧の治療は、生活習慣の改善と薬物療法の両面から進めていきます。
降圧目標は、診察室血圧が130/80mmHg未満、家庭血圧が125/75mmHg未満で、個別状況を考慮して、副作用に注意しながら降圧していくことが重要です。
そのため、年齢や血圧の程度、脂質異常症・糖尿病の有無など、心血管疾患のリスクを総合的に見ながら、まずは生活習慣の改善から始めるか、早い段階で薬物療法を組み合わせるかを判断します。
「血圧の薬は一度始めたら一生やめられない」というイメージをお持ちの方も多いかと思いますが、軽度の段階であれば、服薬と並行して生活習慣を整えることで、薬の量を減らしたり、休薬できたりするケースもあります。
当院では、複数の医師が在籍する体制のもと、お一人お一人の状態やリスクに応じて治療方針を丁寧にご提案しています。
自己判断で服薬を中断せず、気になる症状や副作用があれば、遠慮なくご相談ください。
治療中の方・不安な方の疑問にもお答えします
すでに高血圧や脂質異常症の治療を受けている方にとっても、
「この数値で薬を続ける必要があるのか」
「生活習慣だけで改善できないか」
といった疑問はつきものです。
当院では標準的な治療の考え方をふまえながら、お一人お一人の状況に寄り添った診療を行っています。
護国寺駅から徒歩2分と通いやすい立地で、周辺エリアでお仕事されている方でも通院を続けやすいかと思います。
生活習慣病のご相談は友成第二医院へ
健診で血圧やコレステロールを指摘された方、家庭血圧が高い方、治療中の数値や薬に不安がある方は、友成第二医院へご相談ください。
当院は東京メトロ有楽町線・護国寺駅から徒歩2分で、文京区(大塚・音羽・目白台)、豊島区(雑司ヶ谷・東池袋・南池袋)などから通っていただきやすい立地となっております 。まずは生活習慣や家庭血圧、検査結果などを一緒に確認していきましょう。一人ひとりの状態に合わせて診療します。
この記事の監修者
鈴木一平(すずき いっぺい)
医療法人社団護友会 友成第二医院 院長
広島大学医学部医学科卒。総合診療医として内科・救急・訪問診療に従事。
日本内科学会内科認定医/日本専門医機構認定内科専門医