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睡眠アプリで「眠りの質」を測っている方へ

── スマートウォッチの数値が教えてくれること、見逃してはいけないサイン ──


「ちゃんと寝たはずなのに疲れが取れない」その数値、気になりませんか?

最近、スマートウォッチやスマートリング、スマホの睡眠アプリで「自分の睡眠を測っている」という方が急増しています。「深い睡眠が少ない」「夜中に何度も目が覚めている」「睡眠スコアが低い」——こうした数値を見て、「自分の眠りは大丈夫だろうか」と気になっている方も多いのではないでしょうか。

睡眠を「見える化」することは、健康への意識を高める素晴らしい一歩です。一方で、その数値の中に見逃してはいけない病気のサインが隠れていることもあります。

この記事では、睡眠の質とは何か、スリープテック(睡眠計測テクノロジー)の数値をどう活かすか、そして「これは医療機関に相談すべき」というラインについてお伝えします。


結論:睡眠は「時間」だけでなく「質(休養感)」が大切です

2024年、厚生労働省は約10年ぶりに睡眠の指針を改訂し、「健康づくりのための睡眠ガイド2023」を公表しました。ここで強調されているのが、睡眠時間(量)だけでなく、睡眠による休養感(質)も同じく重要という考え方です。

「6時間寝ているから大丈夫」ではなく、「朝起きたときにしっかり休めた感覚があるか」が健康のカギになります。スマートウォッチの「睡眠スコア」が気になる方は、まさにこの「質」を測ろうとしているわけです。

ただし、ここで大切なことがあります。睡眠の質が悪い背景に、治療すべき病気が隠れている場合がある——これが今日いちばんお伝えしたいことです。


スリープテックで分かること・分からないこと

スマートウォッチやスマートリング、マットレス型センサーなどの「スリープテック」は、ここ数年で急速に普及しました。睡眠への関心が高まることは良いことですが、その特性を正しく理解しておくことが大切です。

スリープテックで分かること(傾向の把握):
睡眠時間、寝ついた時刻・起きた時刻、睡眠中の体の動き、心拍数や心拍変動(HRV)の変化、いびきの記録(一部機種)など。これらは「自分の睡眠の傾向」を知り、生活習慣を見直すきっかけとして非常に有用です。

スリープテックでは分からない・正確でないこと:
「深い睡眠が何分」といった睡眠段階の判定は、医療機関で行う検査(脳波測定)と比べると精度に限界があります。また、睡眠中に呼吸が止まっているかどうか(無呼吸)を正確に診断することはできません。あくまで「医療機器ではなく健康管理用のツール」であることを理解して使うことが大切です。

つまり、スリープテックは「気づきのきっかけ」としては優れていますが、「診断」はできません。数値が気になったら、その先は医療機関での評価が必要になります。


こんな数値・症状が出ていたら要注意

  • スリープテックの数値や日中の体調に、次のようなサインはありませんか?
  • 夜間の心拍数が下がらない・HRVが低い:睡眠中も体が休まっていない可能性があります。
  • 夜中に何度も覚醒の記録がある:睡眠が分断されていると、時間は足りていても休養感が得られません。
  • いびきが記録されている:特に大きないびきや、いびきが途切れる記録は要注意です。
  • 睡眠スコアが慢性的に低い:生活習慣の問題だけでなく、病気が背景にあることも。

そして、数値以上に大切なのが日中の症状です。

  • しっかり寝たはずなのに、日中に強い眠気がある
  • 会議中・運転中など、大事な場面で居眠りしそうになる
  • 朝起きたときに頭痛がする、口やのどがカラカラに乾いている
  • 起床時に「ぐっすり眠れた」という感覚がない
  • 家族から「いびきがうるさい」「呼吸が止まっていた」と指摘された

これらが当てはまる場合、単なる睡眠不足ではなく、睡眠時無呼吸症候群(SAS)が隠れている可能性があります。


「睡眠の質が悪い」の裏に隠れる病気——睡眠時無呼吸症候群(SAS)

スリープテックで「睡眠の質が低い」と出ている方の中には、睡眠時無呼吸症候群が隠れているケースが少なくありません。

睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に何度も呼吸が止まる(または浅くなる)ことで、体が慢性的な酸素不足に陥る病気です。本人は眠っているつもりでも、呼吸が止まるたびに脳が覚醒しているため、**「時間は寝ているのに、まったく休めていない」**状態になります。スマートウォッチで「睡眠スコアが低い」「夜間の心拍が下がらない」と出ている背景に、この無呼吸が隠れていることがあるのです。

放置すると、日中の強い眠気で仕事や運転に支障が出るだけでなく、高血圧・糖尿病・脂質異常症などの生活習慣病を悪化させ、将来的な脳卒中や心筋梗塞のリスクを高めることが分かっています。当院ブログの睡眠時無呼吸症候群とはの記事で、症状や検査・治療について詳しくお伝えしています。

「スリープテックが教えてくれた違和感」は、この病気に気づく貴重なきっかけになります。数値を見て終わりにせず、医療機関での評価につなげることが大切です。


今日からできる睡眠の質を高めるセルフケア

病気が隠れていない場合でも、睡眠の質は生活習慣の工夫で改善できます。「健康づくりのための睡眠ガイド2023」の内容も踏まえ、取り入れやすいものをご紹介します。

  • 光をコントロールする:朝起きたらカーテンを開けて朝日を浴び、体内時計をリセット。夜は寝る1〜2時間前からスマホ・PCの強い光を避けます。
  • 就寝・起床時刻を一定に:休日も平日と大きくずらさないことで、体内リズムが安定します。
  • 寝室環境を整える:光・温度・音の3つを意識。暗く・快適な室温(夏は涼しく)・静かな環境が理想です。
  • 就寝前のカフェイン・アルコールを控える:カフェインは夕方以降、アルコールは寝つきは良くしても睡眠を浅くするため注意が必要です。
  • 日中に体を動かす:適度な運動は睡眠の質を高めます。当院ブログのお花見ウォーキングで健康な足腰づくりも参考にしてください。

不眠や寝つきの悪さが続く場合は、眠れない・ストレスがつらいときの対処の記事もあわせてご覧ください。


「ここまで来たら相談を」の受診目安

次のような場合は、セルフケアだけで様子を見ず、一度ご相談ください。

  • 家族にいびきや睡眠中の呼吸停止を指摘された
  • しっかり寝ても日中の強い眠気が続く
  • 運転中や仕事中に居眠りしそうになる
  • 起床時の頭痛・口の渇きが続く
  • スリープテックの睡眠スコアが慢性的に低い
  • 不眠が2週間以上続いている

特に「いびき+日中の強い眠気」の組み合わせは、睡眠時無呼吸症候群の典型的なサインです。早めの評価をおすすめします。


当院でできること

「スマートウォッチの睡眠スコアが気になる」「ちゃんと寝ても疲れが取れない」「家族にいびきを指摘された」——こうしたご相談を内科・総合診療の立場からお受けしています。

問診で睡眠の状態・日中の症状・生活習慣を丁寧に伺い、睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合は、ご自宅で普段通り眠りながらできる簡易検査をご案内できます。検査機器を装着して一晩眠っていただくだけで、睡眠中の呼吸や酸素の状態を測定でき、入院は不要です。結果に応じて、CPAP(シーパップ)などの治療や生活習慣の改善を一緒に考えていきます。

スリープテックは「気づき」を、医療機関は「診断と治療」を担います。お持ちのスマートウォッチやアプリの記録があれば、受診時にお見せいただくと参考になります。睡眠の不調は、高血圧・糖尿病などの生活習慣病とも深く関わるため、当院ブログの高血圧と言われたら最初に知っておきたいこともあわせてご参照ください。

護国寺・大塚・目白台・雑司ヶ谷・東池袋・江戸川橋エリアにお住まいの皆様、「眠りの質」が気になったら、どうぞお気軽にご相談ください。


次の一手——今日からできる3つのこと

① スマートウォッチ・アプリの睡眠記録を1週間ためてみる
② 「いびき+日中の眠気」があれば、その記録を持って受診を
③ 寝室の光・温度・音を見直してみる


よくあるご質問(FAQ)

Q. スマートウォッチの睡眠スコアは正確ですか?
A. 睡眠の「傾向」を知るには有用ですが、睡眠段階の判定や無呼吸の診断は医療機器ほど正確ではありません。あくまで健康管理用のツールであり、気になる数値が続く場合は医療機関での評価をおすすめします。

Q. 睡眠スコアが低いだけで受診してよいですか?
A. もちろんです。特に日中の眠気・いびき・起床時の頭痛などを伴う場合は、睡眠時無呼吸症候群などの可能性があるため、一度ご相談ください。「これくらいで受診していいのか」という段階こそ歓迎します。

Q. 睡眠時無呼吸の検査は入院が必要ですか?
A. まずはご自宅で普段通り眠りながらできる簡易検査からご案内できます。検査機器を装着して一晩眠っていただくもので、入院は不要です。より詳しい検査が必要な場合は、専門医療機関と連携します。

Q. いびきは指摘されますが、日中は元気です。それでも問題ですか?
A. 日中の眠気を自覚していなくても、睡眠時無呼吸が進行しているケースはあります。大きないびき・呼吸停止を指摘される場合は、自覚症状の有無にかかわらず一度評価しておくと安心です。

Q. 睡眠薬に頼りたくないのですが、相談してもいいですか?
A. もちろんです。睡眠の不調は必ずしも薬が必要なわけではなく、生活習慣の見直しや背景にある病気の治療で改善することも多くあります。その方に合った方法を一緒に考えます。


友成第二医院(文京区護国寺)/内科・整形外科・リハビリテーション科


参考

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