のどが痛いときに考えられる病気と、受診の目安
のどが痛いときに考えられる病気と、受診の目安 ── 風邪・インフルエンザ・新型コロナウイルス感染症について ──
「受診すべきか、様子を見るべきか」——その迷いに答えます
「朝起きたらのどがイガイガする」「唾を飲み込むたびにズキズキ痛む」「熱とのどの痛みがひどくて眠れない」——のどの痛みは、季節を問わず多くの方からご相談をいただく症状のひとつです。
そして最近は、「これは風邪なのか、インフルエンザや新型コロナウイルス感染症なのか」「仕事や学校はいつまで休むべきか」「家族にうつさないためには何をすればよいか」といった悩みをあわせて抱えている方がとても多いと感じています。
のどの痛みの原因はひとつではなく、軽いウイルス感染から、早めの対応が望ましい状態まで幅があります。この記事では、内科・総合診療の立場から、のどの痛みの主な原因・受診の目安・ご自宅でのケアについて、できるだけわかりやすくお伝えします。「受診すべきか、様子を見るべきか」——その判断の助けになれば幸いです。
のどが痛くなる仕組み
のどの奥には「咽頭(いんとう)」「喉頭(こうとう)」と呼ばれる部分があります。空気や食べ物の通り道でもあるため、ウイルスや細菌が侵入しやすく、ここに炎症(組織が赤く腫れ、熱を持って痛む状態)が起きると「のどが痛い」と感じます。
代表的な状態として、のどの奥全体が赤く腫れる「咽頭炎(いんとうえん)」、のどの両側にある扁桃腺が腫れる「扁桃炎(へんとうえん)」、声帯のあたりが炎症を起こして声がかれたり咳が続いたりする「喉頭炎(こうとうえん)」があります。
いずれもほとんどはウイルスや細菌による感染症で、数日〜1週間程度で回復することが多いです。ただし、原因によっては抗菌薬(抗生物質)が必要になる場合もあるため、症状が強い・長引くときは自己判断だけで様子を見続けないことが大切です。
風邪・インフルエンザ・新型コロナウイルス感染症の違い
「のどが痛い=コロナ」「高熱=インフルエンザ」と一概には言えませんが、それぞれの典型的な特徴を知っておくと、受診や日常生活の判断に役立ちます。
いわゆる「風邪」(急性上気道炎)は、ライノウイルスやアデノウイルスなど複数のウイルスが原因となることが多く、のどの痛み・くしゃみ・鼻水・軽いせきが中心です。発熱は微熱程度か平熱のことも多く、「布団から出られないほど」強い全身症状になることは比較的少ない傾向があります。
インフルエンザは、38〜40℃の高熱が突然出ることが特徴です。「朝はなんとなくだるいだけだったのに、昼から一気に高熱になった」という経過を話される方がとても多く、強い悪寒・関節痛・筋肉痛・頭痛を伴います。のどの痛みやせきも出ますが、全身症状の強さが際立ちます。抗インフルエンザ薬は症状の期間を短縮できる場合がありますが、使用の判断は症状が出てからの時間や持病の有無などを総合的に考慮して行います。
新型コロナウイルス感染症は、流行の波によって症状の傾向が変化しています。近年よくみられるのは、強いのどの痛み・せき・発熱(高熱から微熱まで幅があります)・だるさ・頭痛などです。以前に話題になった味覚・嗅覚の異常は、近年の変異株では目立たないことも増えています。風邪との区別がつきにくいことも多く、周囲での感染状況(家族・職場・学校など)も診断の参考になります。
こんな症状があれば、早めの受診を
のどの痛みのすべてが緊急事態というわけではありませんが、次のような場合にはできるだけ早めにご来院ください。
- 38℃を超える高熱が続いている
- 水分がほとんど飲めない、または尿が極端に少ない(脱水が疑われる)
- のどが激しく痛んで、唾を飲み込むのもつらい
- 息苦しさ・呼吸が速い・ゼーゼーするといった状態がある
- のどの片側だけが強く腫れて、口を開けにくい・声がこもる ・首のあたりに強い腫れや痛みがある
これらは、扁桃腺の周りに膿がたまる「扁桃周囲膿瘍(へんとうしゅういのうよう)」や肺炎など、早めの評価が必要な状態が隠れている可能性があります。
また、心臓病・喘息・糖尿病・腎臓病などの持病がある方や、妊娠中の方は、同じ症状でも重症化しやすい場合があります。「様子を見ていてよいか不安」「救急に行くべきか迷っている」という場合も、かかりつけ医にご相談いただくことで方針が決まることがあります。一人で抱え込まずにお声がけください。
市販薬と受診の使い分け
軽いのどの痛みや風邪症状であれば、市販の感冒薬・のど飴・トローチなどを使いながら自宅で様子を見ることもできます。ただし、次のような場合は受診の目安と考えてください。
- 市販薬を使っても3日以上改善しない
- むしろ症状が強くなっている
- 解熱剤をやめるとすぐに高熱が戻る
- お子さんや高齢の方でぐったりしている、水分が取れていない
なお、総合感冒薬や解熱剤の中には、高血圧・心臓病・緑内障・前立腺肥大などの持病のある方が服用中のお薬と相性がよくないものもあります。持病がある方が市販薬を続けて使う場合は、事前にご相談いただくと安心です。
当院でできること
のどの痛みでご来院された方には、まず問診と診察で症状の始まりからの経過・発熱の有無・周囲の流行状況・持病や服用中のお薬などを丁寧に確認します。
その上で必要に応じて、インフルエンザや新型コロナウイルスの迅速検査・血液検査・胸部レントゲンなどを組み合わせて診断を進めます。治療は原因や重症度に合わせて、解熱鎮痛薬・炎症を抑える薬・せき止めや去痰薬・必要な場合には抗菌薬などをご提案します。
「いつまで仕事や学校を休めばよいか」「家族にうつさないために気をつけることは何か」「次の受診はいつにすればよいか」——生活上の疑問についても、その方の状況に合わせてお伝えするよう心がけています。「今日どうするか・次にどうなるか」をできるだけ明確にお伝えすることが、私たちが大切にしていることのひとつです。
ご自宅でできるケアのポイント
のどの痛みを少しでも楽にするために、自宅でできることもあります。
- こまめな水分補給(温かい飲み物がのどに楽に感じる方も多いです)
- 室内の加湿やマスクでのどを乾燥させない工夫
- 症状が強い時期の激しい運動や熱すぎるお風呂は控えめに
- アルコールや強い香辛料などのどを刺激するものは一時的に控える
こうした基本的なケアが、回復の助けになります。また、喫煙はのどの炎症を長引かせる大きな要因のひとつです。「のどが痛い時期に禁煙・減煙を考えてみたい」という方も、お気軽にご相談ください。
「受診しようか迷ったとき」もお声がけください
のどの痛みはありふれた症状だからこそ、「病院に行くほどでもないかな」と迷いやすいものです。しかし、インフルエンザ・新型コロナウイルス感染症・扁桃周囲膿瘍など、早めの対応が望ましい状態が隠れていることがあります。
「受診した方がいいのか」「家族への感染を防ぐにはどうすればよいか」——そんな迷いや不安が出てきた時点で、どうぞお気軽にご相談ください。のどの痛みだけでなく、発熱・せき・全身のだるさなども含めて総合的に評価し、必要に応じて専門医療機関へのご紹介も行っています。「相談してよかった」と思っていただける診療を心がけています。
友成第二医院(文京区護国寺)/内科・整形外科・リハビリテーション科
〈参考〉
- 口腔・咽頭の病気(一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会)
- A群溶血性レンサ球菌感染症(国立健康危機管理研究機構)
- 抗微生物薬適正使用の手引き 第四版 医科・外来編(厚生労働省 健康・生活衛生局 感染症対策部)
- インフルエンザ(総合ページ)(厚生労働省)
- 新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)(厚生労働省)