健診で毎年同じ指摘、放っていませんか?
── 「受けなさい」と言われる健診の、本当の意味 ──
「また同じこと言われた」で終わっていませんか
毎年健診を受けて、「血圧が高め」「コレステロールが高い」「血糖値に注意」と同じような指摘をされている。でも体はどこも痛くないし、困っていることもない。「まあ、そのうちなんとかしよう」と、結果の紙を引き出しにしまってそのまま——。
そんな経験、ありませんか?実はこれは、とても多くの方に共通する「あるある」です。決して珍しいことでも、あなたがだらしないわけでもありません。
先日、ある健康保険組合の保健師さんとお話しする機会がありました。そこで共有したのは、
- 「健診を受けること」
- 「引っかかったら次の検査を受けること」
- 「必要な治療を続けること」
が、思っている以上に難しいという現実です。この記事では、その「なぜ難しいのか」をほぐしながら、健診の本当の意味を、できるだけ分かりやすくお伝えします。
結論:健診は「怒られる場」ではなく「未来の自分を守る道具」です
先にいちばん大切なことをお伝えします。健診は、「悪いところを見つけて叱るため」のものではありません。症状が出る前に体の変化に気づき、大きな病気になる前に手を打つための道具です。
高血圧・糖尿病・脂質異常症といった生活習慣病は、初期にはほとんど症状がありません。痛くもかゆくもないまま、静かに血管を傷つけていきます。そして、ある日突然、脳卒中や心筋梗塞という形で表に出てくる——これがこれらの病気の怖いところです。
健診は、その「静かに進む変化」を、症状が出る何年も前に教えてくれる唯一の手段です。「引っかかった」というのは、「まだ間に合ううちに気づけた」というサインでもあるのです。
なぜ「健診が続かない・行かない」のか——5つの本音
保健師さんとの対話で見えてきた「健診が届きにくい理由」を、正直に並べてみます。どれも、ごく自然な気持ちだと思います。
①「受けなさい」と言われる受け身感
会社や保険組合から「受けてください」と言われるので、なんとなく義務でこなしている。自分ごとになりにくい。
②引っかかった「意味」が分からない
「要再検査」「要観察」と書かれても、それがどれくらい大変なことなのか、ピンとこない。
③何を相談すればいいか分からない
指摘された数値が何を意味するのか、誰にどう聞けばいいのか分からず、相談のきっかけをつかめない。
④毎年同じ指摘で、自覚症状もない
何年も同じことを言われているけれど、体はなんともない。だから「大丈夫なんだろう」と思ってしまう。
⑤単純に、病院に行くのが面倒
仕事が忙しい、待ち時間が長そう、何をされるか分からず気が重い。
これらは、誰も悪くありません。 保険組合も会社も、あなたのことを思って健診を勧めています。あなた自身も、サボろうとしているわけではありません。ただ、「健診が大事な本当の理由」が、うまく届いていないだけなのです。
「自覚症状がない」ことこそ、いちばんの落とし穴
5つの本音の中でも、特にお伝えしたいのが④の「自覚症状がないから気にしない」という点です。
ここには、大きな誤解が隠れています。生活習慣病は、「症状が出てから」では手遅れになりやすい病気なのです。
血圧が高い状態が続くと、自覚がないまま血管の壁が少しずつ傷つき、硬くもろくなっていきます(動脈硬化)。血糖値が高い状態が続くと、これも痛みなく、腎臓や神経、目の血管が少しずつ蝕まれていきます。症状が出たときには、すでに血管や臓器にかなりのダメージが蓄積している——これが生活習慣病の本質です。
だからこそ、「症状がない今」が、いちばん対策の効果が高いタイミングなのです。「何ともないのに指摘される」のは、体が悲鳴を上げる前に、健診が先回りして教えてくれているということ。この順番を知っているかどうかで、10年後・20年後の健康は大きく変わります。
健診で引っかかったら、実際どうなるのか——不安をほぐします
「病院に行ったら、いきなり薬漬けにされそう」「厳しく叱られそう」——そんなイメージから足が遠のく方も多いです。でも、実際はまったく違います。
いきなり薬になるわけではありません。 多くの場合、まず「今どういう状態か」を一緒に確認するところから始まります。数値が軽度なら、生活習慣の見直しから始めて様子を見ることも多くあります。当院ブログの血圧が130台になってきた。これって治療が必要?や健康診断オールAを目指す必要はある?でもお伝えしているように、「数値を良くすること」だけがゴールではありません。
「こんなことで来ていいの?」という段階こそ歓迎です。 「要再検査の紙を持ってきただけ」「数値の意味を聞きたいだけ」——それで十分な受診理由です。むしろ、その段階で来ていただけることが、私たちにとってもいちばん力になれるタイミングです。
過去の結果を持ってきていただければ、流れが見えます。 「毎年同じ指摘」というのは、実は貴重な情報です。数年分の結果をお持ちいただければ、「じわじわ悪化しているのか」「横ばいで様子を見ていいのか」を一緒に確認できます。当院ブログの血液検査の読み方もあわせてご覧ください。
「早く相談する」と、こんなに得をする
健診で引っかかった段階で相談・受診することには、はっきりとしたメリットがあります。
①重い病気を防げる
早く介入するほど、脳卒中・心筋梗塞・腎不全・失明といった重篤な合併症を防げる可能性が高まります。これがいちばん大きなメリットです。
②薬を使わずに済む可能性が上がる
軽度のうちなら、生活習慣の改善だけで数値が戻る方も多くいます。放置して悪化してからでは、薬が必要になる確率が上がります。
③元気に働き続けられる
体調を崩して長期の治療や入院が必要になれば、仕事にも生活にも大きな影響が出ます。健康なうちに整えておくことは、「元気に働き続ける」ことにも直結します。
④結果的に、時間もお金も節約になる
重症化してからの治療は、時間も費用も負担が大きくなります。早めのケアは、長い目で見れば「いちばん楽な選択」なのです。
「ここから始めてみよう」の受診目安
次のような方は、ぜひ一度、気軽に相談にいらしてください。
- 健診で「要再検査」「要観察」「要治療」と書かれた
- 毎年同じ項目を指摘されているが、放置している
- 数値の意味が分からず、誰にも相談できていない
- 「病院に行くほどではない」と思って何年も経っている
- 過去の健診結果が手元にたまっている
「大したことないかも」と思っても大丈夫です。何もなければ「安心」を持って帰っていただけますし、何かあれば早く気づけます。どちらに転んでも、来ていただく価値があります。
当院でできること
当院は、まさに「健診で引っかかったけれど、どうしたらいいか分からない」という方の最初の相談窓口でありたいと考えています。
健診結果をお持ちいただければ、その数値が何を意味するのか、今すぐ対策すべきか・様子を見ていいのかを、専門用語をできるだけ使わず、分かるまでご説明します。必要に応じて血液検査・尿検査・心電図などで詳しく調べ、生活習慣の見直しから、必要な場合の治療まで、一人ひとりのペースに合わせて一緒に考えます。
院長は、大塚警察署・キングレコード・椿山荘の産業医、講談社の健康サポート連携医として、働く世代の健康管理にも携わっています。「忙しくて受診の時間が取れない」「何を相談していいか分からない」という働く方の気持ちも、日々の診療の中で受け止めてきたつもりです。当院は受付終了時間の制限を設けておらず、診療時間内であればお仕事帰りの時間際でも必ず診察します。
護国寺・大塚・目白台・雑司ヶ谷・東池袋・江戸川橋エリアにお住まいの皆様、そして音羽・護国寺エリアで働く皆様。「健診で引っかかったな」と思ったら、その紙を持って、どうぞお気軽にご相談ください。「相談してよかった」と思っていただけるよう、丁寧に向き合います。
次の一手——今日からできる3つのこと
① 引き出しにしまった健診結果を、もう一度見てみる
② 「要再検査」「要観察」の項目があるか確認する
③ 過去の結果もまとめて、相談できる医療機関を探してみる
よくあるご質問(FAQ)
Q. 毎年同じ指摘をされていますが、症状がないので放置しています。まずいですか?
A. 生活習慣病は症状がないまま進行するのが特徴です。「毎年同じ指摘」は、体が変化を続けているサインかもしれません。一度、過去の結果を持って相談にいらしてください。悪化のトレンドがあるかを確認するだけでも意味があります。
Q. 「要再検査」と書かれていますが、何ともないので行っていません。行くべきですか?
A. 「要再検査」は「詳しく調べる必要がある」というサインです。多くの場合、大事に至る前の段階で気づけるチャンスです。症状がなくても、一度受診して確認することをおすすめします。
Q. 健診で引っかかると、すぐ薬を飲まされますか?
A. いいえ。数値が軽度であれば、まず生活習慣の見直しから始めることが多くあります。「今どういう状態か」を一緒に確認するところからスタートしますので、身構えずにお越しください。
Q. 数値の意味が分からないのですが、それでも受診していいですか?
A. もちろんです。「数値の意味を知りたい」というのは、立派な受診理由です。分かるまで丁寧にご説明します。
Q. 忙しくてなかなか時間が取れません。
A. 当院は受付終了時間の制限を設けておらず、診療時間内であればお仕事帰りの時間際でも診察します。まずは健診結果を持って、お気軽にお立ち寄りください。
友成第二医院(文京区護国寺)/内科・整形外科・リハビリテーション科
参考