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内科(生活習慣病)睡眠時無呼吸症候群高血圧

薬を飲んでも血圧が下がらない方へ

── その高血圧、夜の呼吸に原因があるかもしれません ──


「薬が増えていくばかり」で、不安になっていませんか

「きちんと薬を飲んでいるのに、血圧が目標まで下がらない」

「減塩も運動も続けているのに数値が変わらない」

「診察のたびに薬が増えていく気がする」

——そんなもどかしさを抱えている方はいらっしゃいませんか。

薬が効かないと、「自分の努力が足りないのだろうか」と感じてしまう方も少なくありません。でも、そうではないことがあります。血圧が下がりにくい背景に、薬では対処できない別の原因が隠れている——そんなケースが実際にあるのです。

その代表格が、睡眠時無呼吸症候群(SAS)です。この記事では、なぜ夜の呼吸が血圧に関わるのか、どんな方が疑われるのか、そして何をすればよいのかをお伝えします。


結論:下がりにくい高血圧の背景に、睡眠時無呼吸が隠れていることがあります

先に結論をお伝えします。複数の降圧薬を使っても血圧が目標に届かない状態(治療抵抗性高血圧)では、睡眠時無呼吸症候群が合併している割合が非常に高いことが知られています。国内外の研究では、その割合は7〜8割にのぼるという報告もあります。

日本呼吸器学会の「睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020」でも、閉塞性睡眠時無呼吸は二次性高血圧(他の病気が原因で起こる高血圧)の主要な原因のひとつであり、特に治療抵抗性高血圧や夜間・早朝の高血圧では合併に注意が必要である、と明記されています。これはエビデンスレベルの高い記載です。

つまり、「薬が効かない高血圧」は、薬の量や種類の問題ではなく、まだ見つかっていない原因があるというサインかもしれないのです。


なぜ「夜の呼吸」が血圧に影響するのか

眠っている間の呼吸と、日中の血圧。一見つながらないように思えますが、体の中では確かに結びついています。

睡眠時無呼吸症候群では、眠っている間に何度も呼吸が止まったり浅くなったりします。そのたびに体は酸素不足に陥り、「息をしなければ」と脳が反応します。この繰り返しが、次のような変化を生みます。

  • 交感神経が働き続ける:本来、睡眠中は体を休めるモード(副交感神経優位)になるはずですが、無呼吸のたびに体が緊張状態に切り替わります。すると夜間も血圧が下がらず、その影響は日中にも持ち越されます。
  • 夜間・早朝の血圧が高くなる:健康な方の血圧は夜間に下がりますが、睡眠時無呼吸があると夜間に血圧が下がらない、あるいはむしろ上がるパターン(non-dipping型)を示すことがあります。この夜間・早朝の高血圧は、脳卒中や心筋梗塞のリスクと特に関わりが深いことが知られています。
  • 血管そのものへの負担:繰り返す酸素不足は、血管の内側を傷つけ、動脈硬化を進める要因にもなります。

このように、夜の間ずっと体に負荷がかかり続けている状態では、日中に薬を飲むだけでは対処しきれない部分が出てきます。当院ブログの血圧が130台になってきた。これって治療が必要?高血圧と言われたら最初に知っておきたいことでお伝えしてきた生活習慣の見直しと並んで、「夜の呼吸」も血圧管理の重要な要素なのです。


こんな方は、一度確認する価値があります

次のような状況に心当たりがある方は、睡眠時無呼吸の可能性を考えてみる価値があります。

血圧に関するサイン:

  • 3種類以上の降圧薬を飲んでも目標に届かない
  • 朝の血圧が特に高い
  • 家庭血圧で夜や早朝の数値が下がらない
  • 薬を増やしても効果を実感できない

睡眠に関するサイン:

  • 家族に「いびきがうるさい」「呼吸が止まっていた」と言われた
  • 朝起きたときに頭が痛い、口やのどが乾いている
  • しっかり寝たはずなのに日中に強い眠気がある
  • 夜中に何度もトイレに起きる
  • 睡眠アプリやスマートウォッチのスコアが慢性的に低い

体格・持病に関するサイン:

  • 肥満がある(BMI25以上)
  • 糖尿病や脂質異常症も指摘されている
  • 首まわりが太い、あごが小さい

特に、「血圧のサイン」と「睡眠のサイン」の両方に当てはまる方は、一度検査を検討していただきたいところです。当院ブログの睡眠アプリで「眠りの質」を測っている方へもあわせてご覧ください。


「本人は気づきにくい」ことが、発見を遅らせます

睡眠時無呼吸症候群のやっかいなところは、眠っている間の出来事なので、本人には自覚がないという点です。

「いびきをかいている」「呼吸が止まっている」と気づくのは、たいていご家族です。逆に、一人暮らしの方や、寝室が別のご夫婦では、何年も気づかれないまま経過することもあります。

「日中の眠気」も、忙しい毎日の中では「疲れているだけ」と片付けられがちです。実際、外来でお話を伺うと、「言われてみれば、会議中に意識が飛ぶことがあります」「運転中にヒヤッとしたことがあります」と後から出てくることが少なくありません。

だからこそ、血圧が下がりにくいという「昼間の手がかり」から、夜の問題にたどり着くという道筋が大切になります。血圧の数値は、体からのサインなのです。


検査と治療で、何が変わるのか

睡眠時無呼吸が見つかり、適切な治療を行うと、血圧にも変化が期待できます。

代表的な治療であるCPAP(シーパップ:持続陽圧呼吸療法)は、鼻に装着したマスクから空気を送り込み、睡眠中の気道を確保する治療です。日本呼吸器学会のガイドラインでは、CPAP治療によって血圧が低下し、減量や降圧薬に上乗せする形での降圧効果が期待できると記載されています(エビデンスレベルA)。

特に、治療抵抗性高血圧を合併している方では、より大きな降圧効果が報告されています。また、夜間・早朝の血圧の改善が期待できる点も、この治療の特徴です。

ただし、効果には個人差があり、CPAPを毎晩十分な時間使うことが前提になります。研究では、1日4時間以上の使用で効果が現れやすい傾向が示されています。また、CPAPだけで血圧が正常化するわけではなく、生活習慣の改善や降圧薬の調整と組み合わせた総合的な管理が必要です。

「機械をつけて眠るなんて」と抵抗を感じる方もいらっしゃいます。その気持ちはもっともです。だからこそ、まずは「自分に無呼吸があるのかどうか」を知ることから始めていただければと思います。


「ここまで来たら相談を」の受診目安

次のような場合は、一度ご相談ください。

  • 3種類以上の降圧薬を使っても血圧が目標に届かない
  • 降圧薬を飲んでいるが、朝の血圧が高いまま
  • 「いびき」「日中の眠気」と「下がらない血圧」が両方ある
  • 血圧の薬が年々増えていて不安がある
  • 健診で血圧のほかに、血糖・脂質・肥満も指摘されている

「薬が効かないのは、自分の生活が悪いからだろう」と抱え込む必要はありません。原因を探すことは、医療機関の役割です。どうぞ遠慮なくご相談ください。


当院でできること

当院では、「血圧が下がらない」というご相談に対して、薬を増やす前に、原因を探すという姿勢で診療にあたっています。

まず、家庭血圧の記録を拝見しながら、いつ・どのくらい高いのかを確認します。朝が高いのか、夜が下がらないのか——このパターンが、原因を探る手がかりになります。あわせて、いびきや日中の眠気、睡眠の状況についても丁寧に伺います。ご家族から「いびきがうるさい」と言われたことがあるかどうかも、大切な情報です。

睡眠時無呼吸が疑われる場合は、ご自宅で普段どおり眠りながら受けられる簡易検査をご案内できます。検査機器を装着して一晩眠っていただくだけで、睡眠中の呼吸や酸素の状態を測定でき、入院は必要ありません。結果に応じて、CPAP治療の導入や生活習慣の見直しを一緒に考えていきます。

また、高血圧の原因としては、睡眠時無呼吸以外の可能性もあります。血液検査・尿検査・心電図なども組み合わせながら、ほかの原因が隠れていないかも含めて確認します。院長は総合診療・救急の現場で、原因のはっきりしない症状の背景を探る診療に長く携わってきました。「なぜ下がらないのか」を一緒に考えることを大切にしています。

当院ブログの睡眠時無呼吸症候群とは健診で毎年同じ指摘、放っていませんか?もあわせてご覧ください。

護国寺・大塚・目白台・雑司ヶ谷・東池袋・江戸川橋エリアにお住まいの皆様、他院で治療中の方のセカンドオピニオン的なご相談も承ります。どうぞお気軽にお越しください。


次の一手——今日からできる3つのこと

① 家庭血圧を朝晩1週間記録し、「朝が高いか」を確認する
② ご家族に「いびきや呼吸の止まりに気づいたことはある?」と聞いてみる
③ 血圧の記録を持って、かかりつけ医へご相談を


よくあるご質問(FAQ)

Q. 降圧薬を3種類飲んでいますが、まだ血圧が高いです。無呼吸の検査を受けたほうがいいですか?
A. 複数の降圧薬を使っても目標に届かない状態では、睡眠時無呼吸の合併率が高いことが知られています。いびきや日中の眠気がある場合は特に、一度検査を検討する価値があります。ご相談ください。

Q. いびきは指摘されますが、血圧の薬は1種類だけです。関係ありますか?
A. 薬の種類が少なくても、睡眠時無呼吸が血圧に影響している可能性はあります。特に朝の血圧が高い方、夜間の血圧が下がらない方は、一度評価しておくと今後の管理に役立ちます。

Q. 無呼吸の検査は入院が必要ですか?
A. まずはご自宅で普段どおり眠りながら受けられる簡易検査からご案内できます。入院は不要です。

Q. CPAPを使えば、血圧の薬をやめられますか?
A. CPAP治療によって血圧が下がることは期待できますが、薬が不要になるとは限りません。効果には個人差があり、生活習慣の改善や薬の調整と組み合わせた管理が基本になります。減量できたケースの報告はありますが、自己判断での中止は避けてください。

Q. 他院で高血圧の治療中ですが、相談だけでもよいですか?
A. もちろんです。「血圧が下がらない原因を知りたい」というご相談も承ります。現在の処方内容と家庭血圧の記録をお持ちいただけると、より具体的にお話しできます。


友成第二医院(文京区護国寺)/内科・整形外科・リハビリテーション科

参考

この記事の監修者

院長 鈴木一平

鈴木一平(すずき いっぺい)

医療法人社団護友会 友成第二医院 院長

広島大学医学部医学科卒。総合診療医として内科・救急・訪問診療に従事。
日本内科学会内科認定医/日本専門医機構認定内科専門医

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