健診の結果が届く前に、やっておきたいこと
── 秋の健診シーズン。「届いてから」では遅いこと ──
健診は受けた。でも、結果はまだ手元にない
秋は企業健診のピークです。「先週受けてきた」「来週受ける予定」という方も多いのではないでしょうか。そして結果が手元に届くのは、たいてい2〜4週間後です。
今日お伝えしたいのは、この「待っている期間」にこそ、やっておくと役に立つことがあるということです。
結果が届いてから考え始めると、多くの方が同じ道をたどります。封筒を開けて、見慣れない数字とアルファベットに目を通し、「うーん」と唸って、とりあえず引き出しにしまう——そして翌年また同じことを繰り返す。
これは意志が弱いからではありません。「届いたときに何をするか」を決めていないからです。この記事では、結果を受け取る前の今だからこそできる準備をお伝えします。
結論:待っている間にできることが、4つあります
先にお伝えします。難しいことはひとつもありません。
① 90秒で、自分のリスクをざっくり把握しておく
② 去年・一昨年の結果を探しておく
③ 自分が特に注目すべき項目を1〜2個だけ決めておく
④ 「結果が届いたら、○日以内に相談する」と先に決めておく
合わせて20分ほどでしょうか。それでも、結果が届いたときの行動は大きく変わります。
なぜこれが効くのか、順にご説明します。
まず知っておいていただきたい数字
厚生労働省の集計によると、定期健康診断を受けた方のうち、何らかの所見があった方の割合は6割近くにのぼります。しかもこの割合は、長期的に見て上昇傾向にあります。
この数字をどう受け止めるか。私は、「自分だけではない」と知っていただくための数字だと考えています。
「異常を指摘された」と聞くと、自分だけが問題を抱えているような気持ちになりがちです。でも実際には、健診を受けた方の半数以上が何らかの指摘を受けています。珍しいことでも、恥ずかしいことでもありません。
一方で、注意しておきたい現実もあります。所見を指摘されても、再検査や精密検査を受けない方が少なくないのです。理由の多くは「忙しいから」「自覚症状がないから」——これも、ごく自然な感覚だと思います。当院ブログの健診で毎年同じ指摘、放っていませんか?でもお伝えしたとおりです。
だからこそ、届く前に「動き方」を決めておくことに意味があります。
準備①:90秒で、自分のリスクを把握しておく
「6割近くに所見がある」と聞くと、「では自分はどうなんだろう」と気になった方も多いのではないでしょうか。
健診結果はまだ手元にありません。でも、生活習慣から推測できるリスクは、今この瞬間にも分かります。
当院では、公式LINEで「生活習慣病リスク診断」をご用意しました。いくつかの質問に答えるだけで、約90秒で、ご自身の生活に潜むリスクの傾向を確認できます。
この画面から、すぐに始められます。画面の左下(スマートフォンの場合は画面下部のバナー)に「生活習慣病リスク診断」のご案内が表示されていますので、そこから友だち追加のうえ、メニューの「生活習慣病リスク診断」をタップしてください。
もちろん、これは医学的な診断ではありません。あくまで生活習慣からリスクの傾向を見る簡易的なものです。それでも、やってみる価値はあると思っています。理由は2つあります。
ひとつは、健診結果を読む視点が変わること。「自分は血圧系のリスクが高そうだ」と事前に分かっていれば、届いた結果のどこを見ればよいかがはっきりします。何十項目もの数字の中で、迷わずに済みます。
もうひとつは、生活を振り返るきっかけになること。質問に答えていくうちに、「そういえば最近ほとんど歩いていないな」「お酒の量が増えているな」と、自分で気づくことがあります。数値を突きつけられるより、自分で気づくほうが、行動は変わりやすいものです。
90秒です。通勤電車の中でも、寝る前の数分でも構いません。ぜひ一度、試してみてください。
準備②:去年・一昨年の結果を探しておく
これが、実はいちばん重要な準備です。
健診結果を読むとき、1年分だけでは分からないことが、複数年並べると見えてきます。
たとえば、今年のLDLコレステロールが「135」だったとします。これだけでは「少し高いかな」程度の情報です。しかし、
一昨年 118 → 去年 126 → 今年 135
こう並ぶと、明らかに右肩上がりのトレンドが見えます。今は基準値をわずかに超えた程度でも、この勢いが続けばどうなるか——判断がまったく変わってきます。
逆に、
一昨年 140 → 去年 138 → 今年 135
であれば、「横ばい、あるいは少し改善している」と読めます。同じ「135」でも、意味はまるで違うのです。
探しておくべきもの:過去2〜3年分の健診結果。原本がなくても、スマートフォンで撮影した写真で十分です。会社や健康保険組合のシステムで過去の結果を確認できる場合もあります。
「どこにしまったか分からない」という方は、この機会に探してみてください。見つからなければ、来年からは撮影して保存する習慣をつけるだけでも、将来の自分を助けます。
準備③:注目する項目を1〜2個だけ決めておく
健診結果には、数十もの項目が並んでいます。すべてを気にするのは現実的ではありませんし、かえって疲れてしまいます。当院ブログの「健康診断オールA」を目指す必要はある?でもお伝えしたように、完璧を目指す必要はありません。
大切なのは、自分にとって優先度の高い項目はどれかを、あらかじめ絞っておくことです。準備①のリスク診断の結果も、ここで役に立ちます。
優先度が高くなりやすい項目の例:
血圧——過去に高めと言われたことがある方、ご家族に脳卒中や心臓病の方がいる方。詳しくは血圧が130台になってきた。これって治療が必要?をご覧ください。
血糖・HbA1c——体重が増えてきた方、ご家族に糖尿病の方がいる方、日中のだるさが気になる方。
LDLコレステロール・中性脂肪——過去に指摘されたことがある方、ご家族に若くして心筋梗塞になった方がいる方。詳しくはLDLコレステロールが高いと言われたらをご覧ください。
尿酸——お酒を習慣的に飲む方、過去に足の関節が痛んだことがある方。詳しくは尿酸値が高いと言われた方へをご覧ください。
肝機能(AST・ALT・γ-GTP)——飲酒量が多い方、体重が増えた方。
ご家族の病歴は、優先度を決めるうえで重要な手がかりになります。この機会に、ご両親やごきょうだいの持病を確認しておくのもおすすめです。
準備④:「届いたら○日以内に相談する」と決めておく
これが、実は最も効く準備かもしれません。
人は「あとで考えよう」と思ったことを、たいてい忘れます。悪気があるわけではなく、日々の忙しさに流されるだけです。
そこで、結果が届く前に「もし○○だったら、△日以内に受診する」と決めておくのです。
決め方の例:
- 「D判定・E判定が一つでもあったら、2週間以内に受診する」
- 「去年より悪化した項目があったら、1か月以内に相談する」
- 「何もなければ、そのまま1年続ける」
こうして先に基準を決めておくと、結果を見たときに迷いません。判断を「そのとき」ではなく「今」してしまうわけです。
判定区分の見方を、先に押さえておく
結果が届いたときに慌てないよう、判定区分の意味も確認しておきましょう。表記は健診機関によって異なりますが、おおむね次のように整理できます。
A・異常なし——現時点で問題は指摘されていません。
B・軽度異常——基準からわずかに外れていますが、すぐの対応は不要とされる範囲です。ただし去年からの変化は見ておきましょう。
C・要経過観察——今すぐ治療は必要ないが、経過を見る必要がある状態です。「何もしなくていい」ではなく、「生活を見直すチャンス」と受け取ってください。
D・要精密検査——詳しく調べる必要がある、という指示です。放置しないでください。
E・要治療——治療が必要な段階です。早めに医療機関へご相談ください。
なお、判定区分の基準は健診機関によって異なることがあります。同じ数値でも施設によって区分が変わることがあるため、記号だけでなく実際の数値を見ることが大切です。
「ここまで来たら相談を」の受診目安
結果が届いたら、次のような場合はご相談ください。
- D判定(要精密検査)・E判定(要治療)がある
- 去年より明らかに悪化した項目がある
- 同じ項目を3年以上続けて指摘されている
- 数値の意味が分からず、判断できない
- 複数の項目にまたがって指摘がある
- 気になる症状(だるさ・息切れ・むくみ・頭痛など)を感じている
「相談するほどではないかも」と思う段階こそ、いちばん対応しやすいタイミングです。何もなければ「安心」を持って帰っていただけますし、何かあれば早く気づけます。
当院でできること
当院では、健診結果を持ってのご相談を随時お受けしています。
過去数年分の結果をお持ちいただければ、推移を確認しながらご説明します。「どの項目が、どの方向に動いているか」「今すぐ対策すべきか、様子を見てよいか」を一緒に整理し、優先順位を決めていきます。必要に応じて、血液検査・尿検査・心電図などで詳しく調べることもできます。
当院は内科として、高血圧・糖尿病・脂質異常症・高尿酸血症・慢性腎臓病などをまとめて診ています。項目ごとに別の医療機関へ行く必要はありません。また、いびきや日中の眠気がある方では、睡眠時無呼吸が血圧や血糖に影響していることもあり、そうした背景も含めて確認できます。
護国寺・大塚・目白台・雑司ヶ谷・東池袋・江戸川橋エリアにお住まいの皆様、そしてこのエリアで働く皆様。健診は「受けて終わり」ではなく、次の1年をどう過ごすかを決めるスタート地点です。まずは90秒のリスク診断から、気軽に始めてみてください。
※この記事を読みながらでも、画面左下(スマートフォンでは画面下部)のバナーから、すぐに診断を始めていただけます。
次の一手——今日からできる4つのこと
① 公式LINEの「生活習慣病リスク診断」を90秒で試してみる
② 去年・一昨年の健診結果を探しておく(写真でも可)
③ 注目すべき項目を1〜2個決めておく
④ 「D判定があったら2週間以内に受診」など、動く基準を先に決めておく
よくあるご質問(FAQ)
Q. 健診結果が届く前に、何か準備しておくことはありますか?
A. 過去2〜3年分の結果を探しておくことをおすすめします。1年分だけでは分からない変化のトレンドが、複数年並べると見えてきます。写真での保存でも十分です。また、公式LINEの「生活習慣病リスク診断」で、生活習慣から見たリスクの傾向を先に把握しておくのも役立ちます。
Q. LINEのリスク診断は、どのくらい時間がかかりますか?
A. 約90秒です。この画面の左下(スマートフォンでは画面下部)に表示されているバナーから、そのまま始めていただけます。医学的な診断ではなく、生活習慣からリスクの傾向を見る簡易的なものです。
Q. C判定(要経過観察)は、放っておいてよいのでしょうか?
A. すぐの治療は不要とされる段階ですが、「何もしなくてよい」という意味ではありません。生活習慣を見直すことで改善できる余地が大きい段階でもあります。去年からの変化を確認し、気になる場合はご相談ください。
Q. 判定は同じでも、数値が去年より悪くなっています。受診すべきですか?
A. 判定区分が同じでも、数値が悪化しているなら意味のある変化です。「じわじわ進んでいる」パターンは、早めに手を打つほど効果があります。一度ご相談ください。
Q. いくつも指摘があって、何から手をつければよいか分かりません。
A. そのご相談こそ、医療機関の役割です。命に直結しやすい項目から順に、優先順位をつけて整理します。すべてを一度に完璧にする必要はありません。
友成第二医院(文京区護国寺)/内科・整形外科・リハビリテーション科
参考
この記事の監修者
鈴木一平(すずき いっぺい)
医療法人社団護友会 友成第二医院 院長
広島大学医学部医学科卒。総合診療医として内科・救急・訪問診療に従事。
日本内科学会内科認定医/日本専門医機構認定内科専門医